2024.07.01 (月)
【個人事業主向け】税務調査が入った場合の業種別(YouTuber ・せどり等)の対応方法を税理士が解説。
目次
日本は法治国家なので法律を守らなければならないことは、言うまでもなく皆さんご存知のことだと思います。
日本国憲法第30条に「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と明記されており、これが子供の頃に習った三大義務の一つです。
ところが、近年になって”うっかり”か”わざと”なのかは置いといて、無申告で税務署から「脱税者」呼ばわりされる事例が増えています。
本記事では、知らずに無申告だった方が税務調査に入られた場合の対処方法について、業種別の特徴も交えて税理士が解説します。
多様になってきた個人の収益獲得手段と国税当局の対応
よく法律が現実世界に追いつけない様を「いたちごっこ」と言いますが、税金に関する法律についても同じことがいえます。
この背景にあるのは今に始まったことではありませんが、納税義務を負っているはずの側の一部が「税金を払いたくない」と思うからで、最近話題になった国会議員の裏金問題でより明確化したといえるでしょう。
国による副業推奨と早すぎる時代の進歩
国が旗振り役となって「働き方改革」という分かりにくい方針を示していますが、その中の大きな施策が副業の推進です。
その目的については、以下のように意味がよく分からないお題目が示されています。
- 企業のイノベーション促進
- 多様な働き方の実現
- スキル獲得と人材育成
- 所得の増加
このなかで納得できるものは「個人所得の増加」くらいのものですが、副業(本業でも)をやるうえで避けて通れないのが「税金」の問題です。
国が言う前からイノベーションは革新していて、今では様々な副業形態が誕生しました。 その進歩が早すぎるため、国税当局の方が遅れているのが実情です。ただ、気を付けなければならないのは、国税当局が時代の流れに追いつきつつあるということです。
国税庁レポートにみる「課税する!」という固い意志
国税庁は毎年「国税庁レポート」という取り組みや成果に関するアピール資料を公開していて、そこでは毎年「無申告者を徹底的に調査・課税する」と書かれています。
ここで重要なポイントは、国税庁が「国税庁として的確に対応しなければ、適正な申告を⾏っていない納税者を⾒過ごすことになりかねません。」という部分です。
あえて仕出かしている無申告も、うっかりやってしまっている無申告でも、容赦しないということで、身に覚えのある人は注意しなければならないでしょう。
税務調査がないからといって安心できない理由
一般的な話になりますが、事業を始めてから数年間は税務調査がないことは普通です。それというのも、税務調査の特徴を考えれば理解できます。
税務調査では過去3年間の出入りを調べるのが普通で、余程のことがない限りこれだけで済みます。
ところが、税務申告に常習性のある誤りがあれば過去5年間、重大な問題だと思われたら過去7年間遡って調査されます。
この事実から分かることは、未申告などの悪質な案件に関しては5年以上泳がしてから調査したほうが、追徴課税などの実入りが多いということです。
泳がされて税務調査を受けると数年分の税金を奪われることが一般的で、決して油断できないことが分かるでしょう。
突然やってくる税務調査!そのときの対応方法はどうするのか?
今どき電話で「明日税務調査に入ります」なんて言われることは稀ですが、税金の素人にしてみれば唐突な印象を受けるはずです。
そこで慌てると税務署の思う壺なので、それ相応の対処を考える必要があります。そこで、もし税務署から調査依頼が来た場合の対処方法について考えてみましょう。
通常の税務調査は事前通知から始まる
税務署の調査と聞けば「急にやってきて税金を取っていく」というイメージを持たれていますが、実際には事前に連絡がきてから調査が開始されます。
恐らく調査依頼が来た方には身に覚えがあると思います。ここ数年は「無申告者」にかなり力を入れているのが実情です。
ここで不思議に思えるのが、なぜ国税庁が「いわゆる、ワーキングエコノミー」といわれる分野の摘発に力を入れているのかということでしょう。
例えば「せどり」といわれる事業ですが、税務署はメルカリなどのプラットフォーム事業者から資料を取り寄せています。 これはユーチューバーが収入を得ているGoogleでも同じで、少なくとも収入金額はバレていると思っておくべきです。
税務調査は拒否できるの?
古い映画ですが「マルサの女」という作品は、国税庁査察部による強制調査が題材でした。
強制捜査はその名のとおり「強制」で、裁判所の令状を得て行われるので断ることなど出来ません。
それに対して税務署が行う税務調査は「任意調査」とも言われており、その名を聞くと断れるかのような印象を受けます。
しかし実際には拒否できないもので、それは税務調査官には「国税通則法第74条の2」で質問検査権が与えられており、納税者は受忍義務があるためです。 税務署の調査官も人なので、あまり心証を悪くするような行為は慎んだほうが良いでしょう。
調査に向けて取ることができる対策はあるのか
もし税務調査の依頼を受けて過去に税務申告をしていないとしたら、調査官は貴方のことを「犯罪者」といった目で見て調査することになります。
しかも無申告を罰するため、無申告を指摘されてから後付けで一般経費の参入は認められなくなりました。
とりあえず税務調査の連絡があったら、最低限の原始記録を用意しなければなりません。
税金に詳しくない方が税務調査を受けた場合のリスク
税務署から連絡を受けたとして、素人が税務調査に挑んだらどうなるのでしょうか?恐らく調査に入ってきた税務署職員は「無申告ということは、貴方は納税する気がありませんでしたよね」ということを言ってきます。
そんな言葉に乗ってしまえば重加算税などの負担が避けられなくなるでしょう。税務署の職員は素人に容赦がないことを知っておきましょう。
税務調査を受ける場合は一刻も早く税理士に立ち合いを依頼
個人で事業をしていて確定申告もしているなら、税務調査の目的は収入の計上に問題があることがほとんどです。
これが無申告となると厳しい税務調査は確実で、調査官から「これ、悪質ですよね」と言われても反論できないでしょう。
そこで重要なのは「税務調査に強い税理士の存在で、少なくとも言われるがまま税金を毟り取られることは避けられます。 税務調査では事前準備も重要なので、一刻も早く税理士選びに時間を割きましょう。
まとめ
このところ国税当局が力を入れているのが「新分野で稼いでいる無申告の個人」です。急に副業などで収入があっても、確定申告などの知識が無いのが普通ですが、税務署は許してくれません。
無申告は結果的に損をするので、収入が発生した時点で税理士などの専門家に相談することがオススメです。
税務調査に関して不明な点があれば、弊所までお気軽にお尋ねください。
TEL:0586-48-5507
FAX:0586-64-6644
コラムの内容は、国税庁等の公式見解を示すものではありません。詳細は顧問税理士にご相談ください。当コラムの活用において生じた損害の一切の責任は負いかねます。